【本】市場を変えろ 既存産業で奇跡を起こす経営戦略
市場を変えろ 既存産業で奇跡を起こす経営戦略
- 作者: 永井俊輔
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2019/09/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者の永井さんは、投資ファンドからお父様が経営される看板を製作する企業(レガシー)に転職されたとの事。
大企業でもなく、ベンチャー企業でもない、昔から堅実にビジネスを続けてきているレガシー企業の中で、イノベーションに取り組まれた話。
自分が読んだ中で印象に残ったポイントと感じたことをメモ。
レガシーをポジティブに捉えている
- レガシー、大企業、ベンチャーに分類した上で、イノベーションへの道筋の比較
- 隣の芝は青く見えるが、それぞれの置かれた立場からどのように進んでいくかを考えることが重要
- ITの世界ではレガシー=悪 に近いイメージで固定化されているけど、本来の意味である遺産・財産 という捉え方に好感が持てる
一貫しているのは、レガシーへのエールとリスペクト
悲観でも楽観でもなく、自らの立ち位置と手持ちの武器(決して悪くない武器)をあらためて確認し、正しいアクションを起こそう
思っているより自分の事を理解していないのは自分だったりするのと同じで、 自社のこと(特に強み)を本当に正しく理解できているか?を自問することは意外としにくいものだったりする
SWOT分析するのもいいけど、マスを埋めて満足するんじゃなくて、もっとずっと深いところで理解する必要があるその文脈でも、社外に出て行くのは非常に重要 海外に行くと日本の良さが分かるのにも似ているかな
イシュードリブンとランダムインプット
- 興味を持ったイシューを突き詰めていく方法がイシュードリブン
- 気になったものを脈絡を気にせずインプットしていくのがランダムインプット
織り交ぜて取り組んでいくのが良いという話
特定イシューに取り組むときに 過去のランダムインプットが突然一つに繋がる瞬間がある
- 全く別の仕事として経験した事が、特定イシューの取り組みにおいて突然複合的に活きてくることがある
イノベーションに向けた二段階の取り組み
- Lの世界(レガシーのモデル)でコストを削り利益を生み出す(レガシープロフィットの最大化)
- 生み出した原資でにイノベーションに投資
LMI(レガシー マーケット イノベーション)を主導していくチームの重要性
- ポジティブなコミュニケーションができるチームを”維持”し続ける
レガシー企業のビジネスプロセス
- レガシー企業は昔からのビジネスプロセスと後付けのビジネスプロセスが混在しがち
- BPR(ビジネスプロセス再構築)ってワードは最近きかないけど、 意識的にやらないと全体の生産性は間違いなく落ちて行く(気づかないうちに)
- この辺は大企業だと大変なので、むしろ規模の小さな企業の方が有利
クイックウィン、小さな成功
- 体感してみないと実感がわかない → 一度体感すると古い方法に戻れない
- 多くの人に体感してもらい、味方を増やす
カウントダウン
- 既存ビジネスが利益を生む期間=既存ビジネスの寿命(ディスラプションまでの時間)
常にタイムリミットが近づいてきていることに危機感を持てる人間が社内にどれだけいるか?
レガシー企業でイノベーションへの取り組みを継続するために必要なこと
- どんな手法を持ってきても、他社の事例を真似ても簡単に成せるものではない
- 是非本を手にとって読んでいただきたい
全体を通して
レガシー、捨てたもんじゃない!どころか、レガシーが日本を救うんじゃね?くらいのエールが全体から感じられたのが気持ちいい
答えは地に足のついたところにあることが殆どなわけで、イノベーションはベンチャーや大企業が金に物を言わせたR&Dの専売特許じゃないという認識が広がればいいな銀の弾丸を期待するのではなく、今の組織でいかに効果的な変化を促して行くか、にフォーカスしている
イノベーション、って言葉も今や手垢がつきすぎていて身近な感じがないけど、 本当は一人一人が意識すれば、自分たちを変化させることはできるはず
Changeって自動詞で捉えがちだけど、他動詞として捉えたい 自然と変わって行くのを待つのではなく、意図して自分を変化させることで、より良くしていきたい
正しい危機感と適切な推進チーム
この時期、次の事業年度に向けた計画やら何やらを構想していく中で、今までの惰性で続けてきているアレとかコレとか、
変えなくても今すぐは死なないけど、本当にそれでいいの?
変わるのは大変かもしれないけれど、自らを変えられるのなら仕事はもっと楽しくなるはず
そんな動きをしていこうとしていたタイミングで、 少し背中を押してもらえたような気がした
良き本との出逢いでした